東京高等裁判所 昭和51年(ラ)94号 決定 1976年3月23日
抗告人
山田太郎
右代理人
高木国雄
相手方
山田花子
主文
本件抗告を棄却する。
理由
抗告人は、「原審判を取消し、本件を東京家庭裁判所へ差戻す。」との決定を求め、抗告の理由は、別紙(略)のとおりである。
(当裁判所の判断)
一本件抗告理由は、要するに、「抗告人は五〇年三月二八日左睾丸悪性腫瘍の手術を受けて身心が衰弱したところ、同年一一月二一日吐血して胃かいようの診断を受け、今後病気治療に専念しなければならなくなる恐れがあり、そうなれば○○として働けるかどうか分らず、場合により職を失う可能性さえある。しかるに、原審判は、一方的に相手方の申立と調査資料とに基づき、抗告人が通常の勤務に服していた時の給与を基準として金額を決定したものであるから、不当である。」という点にあるものと解される。
しかし、本件のような審判については、事後における事情変更により、審判で給付を命ぜられた金額の取消変更を求めることができるものと解すべきであり、したがつて、抗告人が将来職を失つたような場合には、本件審判の取消変更を求めれば足りるのである。しかも、原審判によれば、婚姻費用分担額を定めるに当つて、抗告人の健康状況を考慮していることが明らかであり、また、記録を精査すれば、原審判は十分な調査に基づいて分担額を定めたものであることが窺われ、次に訂正する部分を除き、その額の算定に違法ないし不当な点は認められない。
二原審判八枚目表終りから二行目の「六三七万」を「七〇六万」と、末行の「五一〇万円」を「五六四万八〇〇〇円」と、裏一行目の「二五五万円」を「二八二万四〇〇〇円」と、五行目の「二一〇万円」を「二二五万九二〇〇円」と、一二行目の「一七万五〇〇〇円」を「一八万八二六六円」と改める(これによれば原審判主文第一項の「一〇万五〇〇〇円」を「一一万八二六六円」と変更すべきであるが、相手方の不服申立がないから、変更することはできない。)。
よつて、本件抗告は理由がないから、棄却することとし、主文のとおり決定する。
(枡田文郎 福間佐昭 古館清吾)